2011年10月14日金曜日

11月の講演予定

113日(木)キャリアビジョンType
115日(土)名古屋商科大学 MBA
1125日(金)東京理科大学
1129日(火)学習院大学

学生の皆様にお会いできるのがとても楽しみです!

2011年10月2日日曜日

ピーター・キャペリ教授の講演を聴いて

ピーター・キャペリ教授の日本での特別講演「不確実な時代の人材戦略」を聴きにいった。キャペリ教授は、私の母校コーネル大学の大先輩、しかもグーグル時代の私の上司はWharton Business Schoolでキャペリ教授と一緒に働いていた。もちろん、「雇用の未来」「ジャスト・イン・タイムの人材戦略」の著者としてしても有名だ。世界は自分が考えているより狭いと感じた。

キャペリ教授が言いたいことは、物的資源を管理するSCMと同じ位の真剣さと数値管理が人的資源の調達・管理(タレント・マネジメント)にも求められるべきではないかということだと思う。

企業は人的資源を確保するときに、「Buy=外部採用」「Make=社内開発」という2つ選択肢がある。キャペリ教授によると、アメリカ企業も現在の日本企業と同じように、外部環境が比較的安定していた1950年代~60年代までは「Make」型の人材マネジメントだったそうだ。しかし、1970年代から環境変化が激しくなり(これは日本企業の世界市場での台頭が関係している)、「Make」をやめ、「Buy」がスタンダードになっていったとのこと。そして現在、「Make」型のアメリカ企業はGEIBMなどごく少数になってしまっていると指摘していた。

言い換えると、じっくり人を育てるGEIBM式の人材マネジメントは不確実な時代には適合しておらず、ジャスト・イン・タイム式人材マネジメントという選択肢の方が有効なのではないかということのようだ。これは、企業が必要な質と量の人材を必要な時に採用し、必要がなければ解雇するというモデルなのだ。このモデルが動く前提条件として労働市場の流動性が必要だ。もちろん、このジャスト・イン・タイム式人材マネジメントは、トヨタ自動車がフォード自動車を凌駕したトヨタ生産方式のコンセプトの一部を人材マネジメントの世界に応用したものだ。

今後の企業はどう対処していけば良いのだろう?キャペリ教授によると、これからの企業は意識的に「Make」と「Buy」をどうバランスさせるかを判断していくことが重要らしい。

現在の日本の多くの企業を考えた場合、基本は新卒一括採用そして社内育成が中心で「Buy」の存在感はとても小さい。しかし、グローバルで競争を視野に入れると、「Make」のみを中心に組織を運営することは不可能だ。特にインドや中国は離職率が非常に高く、人が辞めることを前提に組織を作っていかなければならない。また、日本も今後労働市場の更なる流動化が予想されるわけだから、「Buy」という選択肢を最初から排除するのは適切ではないだろう。日本企業の良さを残しつつ、「Buy」をどううまく組み込んでいくのかが問われているのかもしれない、と講演を聴いていて感じた。