2011年6月25日土曜日

人事は喫煙コーナーに直行せよ

私の家の近くには2つの大きな企業がオフィスを構えている。1つは電機会社で、もう1社は大手通信系の会社だ。両社とも、私の自宅から駅に向かう途中の同じ通り沿いにある。この前の夕方、駅に向かって歩いていると、あることに気がついた。電機会社のビルの外の片隅で45人の男性がたむろして話をしている。話は結構盛り上がっているのが遠くからでもわかる、なぜなら大きな笑い声が聞こえるからだ。気付かれないように、自分の身を少し乗り出して確認してみると、やっぱり喫煙コーナーだ。私は人事として、この会社は業績が良いと、直観的に判断した。それは、喫煙コーナーの雰囲気が良いのは会社の業績が良い時が多いからだ。

ご存じのように喫煙コーナーで交わされる話は濃い。私はタバコを吸わないのだが、会社の健康状態を調べる為に、たまに缶コーヒーを持って、喫煙スペースに行って様々な部署の人たちと話し込んだものだ。すると、会社の現状や人事上の問題などの噂?がかなりの正確性で話されているのにいつも驚かされていた。しかも、喫煙スペースは部署を越えた人間関係を構築するにはもってこいの場所だ。人事はこうやって経営側の戦略だけでなく、現場の声を拾っていく必要がある。そうしなければ、魂が入っていない人事制度・施策を作ることになってしまう。

そんなことを考えながら、駅に向かってまた歩きだすと、左手に大手通信系の会社のビルが見えてきた。そのビルの前にも56人の男性がタバコを吸っている。しかし、さきほどの電機会社と違い、喫煙スペース(広いので喫煙コーナーとはもう呼べない!)は広めなので、みんなある程度離れて立っていて、誰も会話していない。ただ静かにタバコを吸っている。なんとももったいない話だ、折角の人材交流の機会を逃している。会社は喫煙スペースを上手に設計すべきなのに、と思った。喫煙コーナーは、一日に数回様々な部署の人が集まって話し合える、数少ない場なのだから。

しかし、喫煙コーナーには問題もある。まず、タバコを吸わない人はこの輪に入りづらい。さらに、健康的ではないし、女性にはまずうけない。先進的な企業は、この喫煙コーナーの代わりを作る努力をしている。一日数回、様々な部署の人が集まれるスペースが喫煙コーナーの他に作れるか?トイレ?いやトイレで過ごす時間は短すぎる。そう、それは休憩室なのだ。

グーグルには各フロアに数か所きれいな休憩室が設けられ、そこにはお菓子や飲み物が自由に取れるようになっていた。ここで様々な部署の人が集まり情報交換が行われていた。人間はやはり対面でのコミュニケーションで強く結びつき、言語化できないニュアンスや文脈を理解する。こういう組織環境を意識的に作りこんでいくことは組織活性化につながる。デジタルだけでなく、アナログのコミュニケーションもまだまだ大事なのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿